悲しみの透明傘
よっ!ザキオです
昨日の帰り道、そろそろ日が越えるかというぐらいのタイミングで最寄り駅に着いた
家までの数百メートルの間で、僕はコンビニで売ってる透明の傘が道端に落ちているのを見つけて悲しくなってしまった
たった少しの距離で3本も捨ててあった
誰かがポイ捨てしたのに腹が立って悲しくなったのではなくて
もうこの傘達は使ってもらうことがないのかと、傘の未来が見えて悲しくなった
道端に捨てられた傘は雨と泥と人々に踏まれたことでボロボロになっていた
きっと数時間前まで店頭に並び、自分を必要としている人に買ってもらうのをワクワクしながら待っていたんだろう
雨が止んで要らなくなって捨てたのか
それとも壊れて使えないから捨てたのか
いずれにしろ人が故意に捨てたのには変わりない
人間って勝手な生き物だな〜
必要なときはお金を出してでも買い求めるのに、不必要になれば道端にポイッてしちゃう
傘が僕を寂しげに見つめている気がした
このあと近くのゴミ捨て場にまた捨てられ、ごみ収集車で回収されゆく運命の傘達を見ていたら拾ってやりたくもなるが
僕も自分勝手な人間なんで、わざわざボロボロの傘を拾って使ってやろうとは思わない
諦めよ使い捨て透明傘よ
もう君達を使おうなんて誰も思わないのだ
すまんな拾ってやれなくて、と
心の中でつぶやいた
たかだか使い捨てのボロボロ傘だけど、こちらを見つめてくる傘に少しだけ情が湧きつつもその場を通りすぎた
僕はたまにこうなる
道端に捨てられたものがお腹を空かせた野良猫のように思える
とは言いつつ見て見ぬふりをする僕はやっぱり冷たい人間だな
傘で悲しくなるだけマシだよと自己完結するぐらいでちょうどいいのかもしれない